GROUP研究グループ
新規材料開発グループ
超分子の特性を活かした
機能性材料を開発
- 代表
- 水野元博 教授
- 専門分野
- ナノ構造化学、機能物性化学
- キーワード
- 固体物性、磁気共鳴、固体NMR、超分子
複数の分子が弱い相互作用によって新しい構造を作り上げる「超分子」という概念は、ノーベル化学賞受賞者であるJean-Marie Lehn が提唱したものです。
当グループでは、超分子の特性を活かした機能性材料の開発を推進しています。従来の超分子を用いた材料開発は液体が主であることに対し、実用化の観点から固体材料に着目していること、また固体NMRにより物質の局所構造やダイナミクスを解析し物質設計にフィードバックしていることが、当グループの特徴です。
具体的な研究テーマとしては、物質内部のナノ空間を精密に制御した固体多孔性環状超分子の開発があります。これは大気中の有害ガスのみ、あるいは水素など有益なエネルギー材料のみを集める分子選択的吸蔵物質として応用できます。
また燃料電池への活用が期待される固体プロトン伝導物質の開発にも取り組んでおり、固体中に規則的なナノ細孔を作り、その中にプロトン(H+)を持つ有機分子を配置することで、高い伝導性を持つ固体電解質の合成を実現しました。ここでは固体NMR法により、分子レベルでのプロトン伝導のメカニズムの解析にも成功しています。
固体材料の中に分子の集合体を作ることで「刺激応答性の固体」を実現するという、全く新しい研究コンセプトも打ち出しています。高分子エラストマーに低分子を溶解させ、引っ張るなどの刺激を加えると、それに応答して色が変わったり、発光したりするイメージです。
より実用化に近い研究から、チャレンジングなテーマまで、私たちのフィールドは大きく広がっています。